小千谷縮 樋口隆司 作品展


遅い春、早い夏!!

丸太やでは、汗ばむ季節にも着物でおしゃれを楽しみたい方のために、小千谷縮を取り揃えた会を開催いたします。
小千谷縮 樋口隆司 作品展
4月28日(土)~5月6日(日)

二年前、平成22年3月、新潟県小千谷市の織物作家樋口隆司さんの個展を弊店で開催した折のことです。「今回、小千谷縮がユネスコ無形文化遺産に認定されたのです」と樋口隆司さんが満面に笑みを浮かべて話されました。「ユネスコ無形文化遺産」とは、2003年にユネスコ総会で採択された「無形文化遺産の保護に関する条約」に基づくもので、芸能、儀式、祭礼、行事などが対象ですが、「小千谷縮」は、2009年に伝統工芸技術として認定を受けたのです。日本の染織工芸品としては、やはり、2009年に「越後上布」が、2010年に「結城紬」が「ユネスコ無形文化遺産」に認定されています。樋口隆司さんは、長く「小千谷織物同業協同組合」の理事長を勤められ、「小千谷縮」を代表とする小千谷の織物の振興にご尽力されましたが、「小千谷縮」が「ユネスコ無形文化遺産」に認定されたことに、万感の思いを抱かれたことでしょう。
私は、過去に三度、樋口隆司さんを訪ねて小千谷に参りました。平成20年2月に訪問した折、樋口隆司さんは、「明石堂」という祠に私たち夫婦をご案内くださいました。「明石堂」は、江戸時代初期、播磨の国、明石出身の浪人で、明石次郎と呼ばれていた掘次郎将俊が小千谷に移り住み、村人を指導して「明石縮」をもとに「越後麻布」を改良し「小千谷縮」を創出した功績を称えて創建された祠で、今も、毎年、「小千谷織物同業協同組合」によって祭礼が執り行われています。平成16年10月、小千谷を襲った新潟県中越地震で「明石堂」が損傷した際も、「小千谷織物同業協同組合」が修復したそうです。この度、「小千谷縮」が「ユネスコ無形文化遺産」に認定されたことは、掘次郎将俊以来、四百年近くに亘って「小千谷縮」を守り育ててきた小千谷の人々の努力の賜物なのです。
昨年の暮に樋口隆司さんが弊店にお越し下さった折、「お蔭様で小千谷縮が好評なのです。地球温暖化が問題になってクールビズが求められるようになり、小千谷縮が見直されたのです。何せ体の中を風が通る織物ですから。それと元祖形状記憶なのです。洗ったら元通りになりますから。」成る程、空調設備など無かった江戸時代、蒸し暑い夏を快適に過ごすために生み出された「小千谷縮」は環境に優しい織物なのです。しかし先人の知恵と努力で生み育てられた「小千谷縮」も樋口隆司さんのように今という時代に相応しいファッションとして新たに生み出す創意がなければなりません。樋口隆司さんの言葉です。
伝統工芸は風土から生まれる
それは戦いの歴史でもある
厳しい風土との戦いは
何時しか共生へと変わる
何代にも渡って生き続ける伝統工芸は
守りに入ると絶える
「守り」とは時間を止めることと同じだ
伝統の継承とは
絶えず新しいことにチャレンジすることに他ならない
麻素材の縮の他にも、絹の小千谷紬や、まるで羽衣のような、「ふわり」と軽い湯揉み絹縮もたくさん揃っています。是非ご覧ください!
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