模様のおはなし
さて、只今「丸太や」では「慶祝の装い」という催しを開催していますので、それにちなんだお話を・・・
貝合わせという遊びをご存知でしょうか?
平安時代以来の貴族の遊びで、蛤の貝殻を使った神経衰弱みたいなゲームです。蛤は二枚貝の中でも噛み合わせに強い歯があって、他の貝とは合わないのだそうです。そのことが、強い結びつきのシンボルとなって吉祥文様の一つとなっています。
その貝を収めておくのが貝桶です。貴族の間だけではなく、武家社会でも、結婚の縁起物として婚礼調度の重要なものの一つでした。この留袖の柄がその貝桶です。
周りに描かれた模様にも意味があります。
まずはこの柄。
円周の四分の一ずつを交錯させた連続模様で『七宝繋文(しっぽうつなぎもん)』とよばれています。円が四方に繋がって、さらに縦横に拡がるところから「十方」の意味を持つと考えられ、音の似た「七宝」になったといわれています。
円=縁、良いご縁に繋がるようにとの願いが込められています。
さらにこの柄は『青海波文』。
大海原を表現する模様です。周りを海に囲まれた日本人にとって、海は特別な関わりを持つもの。神秘に満ちた海、豊穣をもたらす海は幸福を呼び起こすものとしてやはり吉祥の模様なのです。
こちらの袋帯にも『七宝繋文』と『青海波』の柄がつかわれています。
いずれの模様も平安の時代にすでに意匠としてあって、今に伝えられているのです!
留袖や袋帯の吉祥模様の数々、遠い遠い昔から変わることのない「幸せを願う心」を身にまとうのですね。
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